画像で分かる!CentOS 8 のインストール方法
2019年9月24日、ようやくCentOS 8がリリースされました。
CentOS 7の初回リリースから5年が経ち、様々な新機能が追加されました。
今回はそんな最新OS、CentOS 8 のインストール方法を画像付きで、経験者はもちろん、初心者にも分かりやすいように解説していきます。
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CentOS 8 はどんなOS?
CentOS 8は、Red Hat 社がリリースしている商用LinuxディストリビューションのRed Hat Enterprise Linux 8(RHEL8) から派生する無償Linuxディストリビューションです。
派生といっても、RHEL8と機能的に高い互換性を持っているので、RHEL8が持つ商標部分が除去されている点以外はほぼ同一です。
商用ディストリビューションの持つ高い安定性と、長いサポート期間(10年)を持つことから、Linuxディストリビューションの中ではUbuntuと並び世界中で広く利用されています。
メジャーアップデートは3~5年間隔で行われるので、メジャーバージョンが上がると多くの機能が追加、変更されます。
今回も、CentOS 7から様々な変更点が盛り込まれています。120ページにも及ぶリリースノートのうち、チェックしておきたい新機能を抜粋して別記事でまとめていますので、一通り目を通しておくとどこが進化しているのか把握して頂けるかと思います。
Red Hat Enterprise Linux 8 新機能をわかりやすく解説【RHEL8】
インストール手順
ここからは、実際にCentOS 8をインストールする手順について解説していきます。
インストールディスクイメージのダウンロード
https://www.centos.org/download/ より、ディスクイメージをダウンロードします。
CentOS Linux DVD ISO と CentOS Stream DVD ISO という2つの候補から選択してダウンロードができます。
この2つの違いを以下に示します。
CentOS Linux
CentOS 7 までのような、従来型のリリースです。
半年~1年ごとにマイナーアップデートが行われ、バージョン番号は 8.0、8.1、8.2、 … のように上がっていきます。
基本的にはこちらを選んでおくと間違いがないです。
CentOS Stream
いわゆるローリングリリースです。
ローリングリリースとは、更新が頻繁にリリースされるリリースモデルのことを指します。
CentOS Streamには、RHEL8のマイナーリリースのために開発中のパッケージなどが含まれ、RHELおよびCentOSの開発を円滑に進める役割を持ちます。
実はCentOS 7のときからローリングリリースは存在しており、1~3か月ごとにリリースが行われていました。リリースには、CentOS-7-x86_64-XXX-1801-01のように、リリース月が付けられていました。おそらくCentOS 8 でも同様のリリースサイクルとなるのではないかと思われます。
なお、CentOS 7のインストールディスクイメージに存在していた、DVD ISO、Everything ISO、Minimal ISOという区分はなくなり、ひとつのディスクイメージに統合されました。
そのため、ディスクイメージは一律で約6.6GBとなっています。片面1層式の標準的なDVDには収まりきらないので注意してください。
インストールの準備
実機にインストールする場合は、DVD(片面2層式以上)にImgBurn等のライティングソフトを使ってISOイメージを書き込んでインストールディスクを作成します。
仮想マシンにインストールする場合は、仮想マシンの設定から、仮想DVDドライブにISOイメージを読み込ませます。
OSのセットアップ
実機or仮想マシンの電源を投入すると、以下のような画面が表示されます。
Test this media 8 Install CentOS Linux … を選択すると、インストールメディアのチェックが実行された後、インストール画面に進みます。メディアのチェックはそこまで時間のかかるわけではない(手元の環境では1分以内で完了しました)ので、これを選択することをお勧めします。
Install CentOS Linux … を選択すると、チェックなしでインストール画面に進みます。
インストール画面で使用する言語の選択
最初にインストール画面で使用する言語を聞かれるので、お好みの言語を選択します。
メニュー画面
言語を選択すると、メニュー画面が表示されます。少なくとも黄色いアイコンが付いた項目の設定を済ませるまでインストールは開始できません。
ネットワーク設定
メニューより、ネットワークとホスト名を選択します。
- 画面右上のスイッチをクリックして、ネットワーク接続を有効化します。
- ホスト名を変更する必要がある場合は、左下のフィールドに設定したいホスト名を入力して適用をクリックします。
- DHCPを利用して接続する場合、ネットワーク設定はここまででOKです。キーボード/言語サポートの設定へ進んでください。
- IPアドレスを固定したい場合など、手動で接続設定をしたい場合は、画面右下の設定をクリックして設定画面を表示します。
- 必要に応じて、設定項目を編集します。以下の画像はIPv4アドレスを手動で割り当てる場合の設定例です。
設定が完了したら、画面左上の完了をクリックして、メニューに戻ります。
キーボード/言語サポートの設定
必要に応じて、キーボードと言語サポートの設定を行います。
言語サポートは、OS使用中に実際に表示される言語の設定です。
日付と時刻
メニューより、時刻と日付を選択します。
左上より、地域と都市を選択するか、地図から選択することで、タイムゾーンが設定されます。
右上のネットワーク時刻をオンにすることで、時刻を自動で同期することができるはずです。(…本来できるはずなのですが、手元の環境ではインストール完了後、改めてchronydを起動しないと時刻同期が有効になりませんでした。)
設定が完了したら、画面左上の完了をクリックして、メニューに戻ります。
ソフトウェアの選択
メニューより、ソフトウェアの選択を選択します。
この画面では、プリインストールするソフトウェアを選択することができます。
まず画面左側でベースとなる環境を選択します。サーバーの要件によってお好みで選んでください。GUIで利用したい場合、サーバ(GUI使用)かワークステーションを選択する必要があります。
今回からインストールメディアが共通となったので、Minial ISOがなくなってしまいましたが、最小限のインストールを選択することで同様の環境を構築することができます。
さらに、画面右側で追加のパッケージを選択することができます。
何をインストールして良いのか分からない場合、これらのパッケージは必要に応じて後でインストールすることができるため、選択しなくても大丈夫です。
設定が完了したら、画面左上の完了をクリックして、メニューに戻ります。
ストレージの設定
メニューより、インストール先を選択します。
この画面では、ストレージに関する設定を行うことができます。
パーティションや暗号化の設定が可能です。特に設定することがなければ何も変更せずに、画面左上の完了をクリックしてメニューに戻って構いません。
CentOSはデフォルトの設定のままでもディスクやメモリの容量を元に適切なパーティション分割を行ってくれます。
複数のディスクにまたがってファイルシステムをマウントしたい場合や、LVM以外のボリューム設定を使用したい場合は、ストレージ設定のカスタムにチェックを入れたうえで画面左上の完了をクリックします。(デフォルトの自動構成でストレージを設定した場合、自動的にLVMでボリュームが構成されます。)
ストレージ設定をカスタムとした場合、手動パーティション設定の画面に遷移します。
LVM以外のボリューム設定を使用したい場合は、画面左側のパーティション設定スキームのプルダウンからお好みの設定を選択します。
ここをクリックすると自動的に作成しますの表示をクリックすると、自動的に設定が作成され、これをベースに論理ボリュームのマウントポイントや容量を調整することができます。
複数ディスクにまたがってファイルシステムを構成することも可能です。(例えば、/var 配下のみ別ディスクに移動するなど)
パーティション設定が完了したら、設定を更新をクリックして設定を反映させます。
設定が完了したら、画面左上の完了をクリックして、メニューに戻ります。
カーネルダンプの設定
カーネルダンプとは、カーネルのクラッシュ時にカーネルメモリの内容をキャプチャして保存する機能です。
カーネルのクラッシュはシステムのクラッシュを引き起こすので、カーネルダンプはシステム障害に関する情報として利用することができます。
ただし、カーネルダンプを有効にする場合、普段起動しているカーネルのクラッシュに備えてキャプチャ用のカーネルをメモリ上にロードしておかなければいけないので、その分利用可能なメモリ容量が減少します。
カーネルダンプを有効にした場合、最低でも160MB以上のメモリが余分に消費されるので、システムの要件によって有効・無効の判断をするべきです。
設定が完了したら、画面左上の完了をクリックして、メニューに戻ります。
OSのインストール
ここまでの設定を全て済ませると、以下のような状態になるはずです。
画面右下の、インストールの開始をクリックするとOSのインストールが開始されます。
OSのインストール作業中には、ユーザーの設定ができます。
このうち、rootユーザーのパスワードの設定は必ず行ってください。
rootユーザーのパスワード設定
メニューより、rootパスワードを選択すると、rootパスワードを設定することができます。
rootユーザーには、システムに対して全ての操作を行う権限が与えられるので、強固なパスワードを設定することをお勧めします。
一般ユーザーの作成
メニューより、ユーザーの作成を選択すると、一般ユーザーを作成することができます。(この手順は必須ではありません)
先述したように、rootユーザーにはシステムに対して全ての操作を行う権限が与えられます。これを常用すると様々なリスクがあるので、一般ユーザーを作成し、通常時は作成した一般ユーザーで操作を行うのが定石です。
インストールの完了
インストールが完了すると、以下のような画面が表示されます。画面右下の再起動をクリックし、再起動をかけます。
再起動後、先ほど設定したユーザー名とパスワードでログインします。
以上でCentOS 8のインストールは完了です!
お疲れさまでした。
参考
・CentOS-8(1905) Release Notes
・Manuals/ReleaseNotes/CentOSStream
https://wiki.centos.org/Manuals/ReleaseNotes/CentOSStream
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参考になりました
質問です。
このサイトの手順通りにやっても再起動後、ユーザー名とパスワード入力を入れる画面が出ずにOSのセットアップ画面が表示されてしまうのですが、どうすればいいでしょうか
念のためですが、インストールディスクを取り出してから起動していますでしょうか。
OSをインストールしたHDD等より、インストールディスクの方が起動順位が高く、そちらが優先して起動している可能性があります。